講談社現代新書『メディチ家』
講談社 森田義之著
今までルネサンス関係の本を何冊か読みましたが、振り返るとメディチ家メインの本で読了したのはこれが初めて。
講談社学術文庫の『メディチ家の人びと』を少しめくったことはありましたが、きちんと読まずに置いたままだったりで。
そちらの本は、あとがきによると、文学系の方が著されたとの由で、史実に即していないところもあるらしいので、だったら先に歴史研究者の本を読もうかなと思ったのも、こちらを先にした理由だったりします。
総評としては、難解でつまらないというほどでは無いけれど、若干説明不足か、あるいは詰め込みすぎというべきかと思いました。詰め込みすぎと感じるほどいろいろな記述があるのはある意味利点ともいえそうですが、新書としてはやはりある程度思い切って整理し、その分基本的な部分から解説があったほうが良いと思います。
とはいうものの、メディチ家の出自と紋章の由来、メディチ銀行の財務状況や組織の具体的な数字を挙げての説明や、初代トスカーナ大公コジモ1世に始まる近世のメディチ家の紹介は、興味深く読みました。
とくに、自身の興味の対象がマキァヴェッリ周辺なので、君主化以降の知識がかなり乏しかった部分の補完という点で参考になりました。
本筋とは関係ない部分ではありますが、「オスマン・トルコ」という表現や、通俗的なマキァヴェッリ主義的表現が用いられるのはちょっと気になります。良くあることなので仕方ないと思いつつも、やっぱり何とかならないかなあ、という気分が残ります(1999年初版の本としてはちょっと認識が古いかな……)。
0 件のコメント:
コメントを投稿