〈上〉の読書でも同様のありさまでしたが、〈中〉においてはさらに理解が難しい部分が非常に多かったため、基礎知識をおさえ認識を深めてから再度チャレンジできればと思っています。
(一応テーマによっては読み取りやすかった部分もあり、まるきり無駄では無かったとは思いたいところですが……)
今回にかぎらず、自分の知識レベルより上の、いわば背伸びした状態の読書をすることが多いのでしばしば起きる事態なのですが、今回ほど手ひどくやられたのはひさびさです。
次に読む本はボリューム・内容のレベルともに難易度をさげて、もう少し気軽に読めるものにしたいと思います。
章のタイトルや執筆者名などの情報もあるので、何かの参考にならないこともないかと、記入していた感想まとめの途中までをそのまま置いておきます。
『西欧中世史〈中〉―成長と飽和 (MINERVA西洋史ライブラリー)』
ミネルヴァ書房 江川溫/服部良久編著ミネルヴァ書房の西欧中世史3分冊のまんなか、中世盛期である11~13世紀が対象の一冊です。
「起源一〇〇〇年と一三四〇年の時点を取れば、イベリア、イタリア、ギリシアなどの地中海沿岸地域は1400万から二一〇〇万と、五〇%の増加があったとされる。
こ れにたいし、現在のイギリス、フランス、ベネルクス三国などに当たる地域は760万から二四五〇万、ドイツ、スイス、オーストリアなどに当たる地域は 380万から一一二〇万と、いずれも約三倍の伸び率が推定されている。またエルベ以東の地域では、この間の人口の伸びは一〇%程度にとどまったという。」 p.1
上述のような大幅な人口増加やそれにともなう社会の変化、封建化や地域の編成など、この時期に起きたさまざまな変化について要素ごとに章を分けて解説されています。
概説 成長と飽和
一 人口の増大と農業発展ニ 領主と農民
三 教会と教会人
四 戦士たちの世界
五 十字軍運動の展開
六 都市の発展
七 知的状況と知識人
八 正統と異端
九 諸王国の政治的発展
感想はこちらの記事で。
1 ローマ・カトリック秩序の確立 山辺規子
一 「グレゴリウス改革」「叙任権闘争」の時代からニ 教皇庁の組織化
三 教会の多様化
四 司教座と教区制度の整備
五 最近の教会史研究から
感想はこちらの記事で。
2 地域と国家統合 服部良久
一 権力構造から見た地域と国家ニ 叙任権闘争以前のドイツ――王権と部族大公領
三 フランス――国王による「地域」形成
四 イングランド――中央と地方の対話
五 シュタウフェン時代のドイツ――諸侯的国制へ
六 中世後期への展望
領邦国家形成に向かうドイツと王権が支配地域を拡大、代官を派遣して中央集権的な統治を拡大させていくフランス、地方自治と王権の直接的な結びつきが特徴的なイングランドといった、漠然とした大雑把な理解までは出来たのですが、個々の詳細については概念や用語が難解過ぎて読んでいて唸る一方でした。
3 貴族・家人・騎士 江川溫
一 研究対象としての中世貴族
二 階級内部の諸集団
三 諸集団の「貴族性」(nobilitas)をめぐって
四 騎士――称号・理念・叙任式
五 貴族身分の再編成に向けて
何をもって貴族とし、どのような人びとが貴族と呼ばれたのか。騎士と訳されるmilesの原義、ドイツやフランスでの使用事例の紹介、騎士理念についてなど。
この章も内容があまり理解できずに感想の書きようがなく、まさに撃沈状態……。
4 インカステラメント・集村化・都市 城戸照子
一 都市と農村をめぐる視点の転換二 〈incastellamento〉と集村化
三 中世盛期における都市と農村――ラティウム教皇国家の場合
5 市と交易 山田雅彦
一 中世市場研究の基本的視角二 市のテルミノロジー
三 見えにくい初期の市
四 諸権力による市の掌握
五 新世代の市場の登場
六 商品流通の質的転換
七 大市の発展と市場の運命
八 市場世界と非市場世界
6 領主と農民 渡辺節夫
一 領主=農民関係の理論と具体像二 領主=農民関係をめぐる理論的諸問題
三 村落共同体と領主支配
四 農奴制確立へのプロセスと動態―― 一一―一二世紀北フランスを中心に
(※横書き表示では読みにくいのですが、英数字であらわすと「11~12世紀」です。)
五 中世後期に向けて――農奴制変質の萌芽
7 知識と社会 ――大学の成立と教皇の介入を中心として―― 大嶋誠
一 大学史研究の動向二 十二世紀ルネサンス
三 パリ大学の成立とローマ教皇の介入
8 キリスト教と民衆的想像世界 池上俊一
一 想像世界における民衆的なもの二 民衆的想像世界の変容
三 民衆的想像世界と社会
9 レコンキスタとイベリア半島 尾崎明夫
一 中世盛期のイベリア半島二 サンチョ大王によるキリスト教スペインの統一とその継承
三 カスティーリャの興隆
四 ピレネー諸王国の台頭
五 アフリカ人の侵入とレオン帝国理念の消滅
六 五王国時代
七 大征服時代
八 アンダルシーアとレバンテ地方の再植民
九 レコンキスタの終焉と一四世紀の危機の始まり
一〇 中世盛期のスペイン文化
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